距離と獲得標高から山行の所要時間を計算する方法
同じ距離の山行でも、かかる時間がまるで違うことがあり、その差の正体はほとんどの場合、獲得標高であって他の要素ではない。距離だけで見積もると、平坦な遊歩道と急な尾根を同じ「歩き」として扱ってしまう。100年以上前から山歩きの世界で使われてきた目安は、距離から出した時間に登りぶんの時間を足すことでこの差を埋めてくれる。そして自分の山行がいくつか記録として残っていれば、この目安を一般論ではなく自分の数字に作り替えることもできる。
短く答えると
普通の歩くペースで、距離だけならどれくらいかかるかをまず出し、そこに登りぶんの時間を上乗せする。山歩きで昔から使われている目安では、獲得標高600メートル(約2,000フィート)ごとにおよそ1時間を、距離から出した見積もりに足す。ほとんど登りのない10キロと、900メートル登る10キロは、まったく違う一日になる。歩き出す前にその違いを数字にする、いちばん単純な方法がこれだ。
性質の違う二つのコストを、混ぜずに足す
ある水平距離を歩くのにかかる時間は、その人がふだん地面の上で出しているペースで決まる。高さを登るのには、それとは別に追加の時間がかかる——同じだけ前に進むにしても、上に向かって進むほうが平地を進むより時間がかかるからだ。凸凹したコース全体をひとつのペースにまとめて推測しようとするのではなく、この目安は二つのコストを分けたまま、平地換算の見積もりに登りぶんの見積もりを単純に足す。
この分け方のおかげで、この目安がほしがる二つの数字は、山行アプリが記録の最後にすでに出している距離と獲得標高そのものと同じになる。何か新しく測る必要はなく、ルートの記録にすでに並んでいる二つの数字をそのまま使えばいい。
実際に計算してみる
例えば、計画しているコースが14キロ、獲得標高900メートルだとする。1キロあたり12分の普通のペースなら、距離だけで14×12=168分。登りぶんは900÷600=1.5時間、つまり90分。合計はおよそ168+90=258分、4時間15分あまりになる。
マイルとフィートでも考え方は同じで、目安の定数はおよそ2,000フィートごとに1時間になる。1マイルあたり19分のペースで8.5マイルのコースなら、距離だけでおよそ8.5×19≈162分。獲得標高2,600フィートは2,600÷2,000=1.3時間、およそ78分を上乗せし、合計はおよそ4時間になる。
この定数は約束ではなく、あくまで出発点
「600メートルごとに1時間」という数字は、平均的な人が平均的なコースを歩いた場合の話であって、もともとそれ以上の精度は期待されていない。ガレ場、ぬかるみ、重い荷物、歩き慣れないコース、その日その日のちょっとした差——どれもこの定数を、実際の数字から上にも下にもずらす。しかもこれは登りだけの目安であり、下りについては何も言っていない。急で技術的な下りをほぼ登りと同じくらい時間がかかると感じる人もいれば、ずっと速いと感じる人もいる。この計算が出す合計は、日没までの余裕やペース配分を考えるための、そこそこ妥当な最初の見積もりとして扱うのがよく、山行がその数字に必ず合わせなければならないものではない。
一般論の目安を、自分専用の数字に変える
山行ごとに距離・行動時間・獲得標高を記録しているアプリには、「600メートルごとに1時間」という一般論の数字を、見知らぬ誰かの平均ではなく自分自身の過去の山行から作った数字に置き換えるための材料がすでにすべてそろっている。
すでに記録した山行をひとつ選ぶ。距離・行動時間・獲得標高は、その記録の中にすでに並んでいる。距離に、ふだんの平地でのペースをかけて、その距離だけならかかったはずの時間を見積もる。実際の行動時間からその見積もりを引くと、残った分がおおよそ「登りぶん」に相当する時間になる。その残りの時間を獲得標高で割れば、自分専用の定数が出る——その山行と似た地形で、1メートル登るごとにかかる追加の時間だ。
一例として、10キロの山行を、平地では1キロ11分のペースで歩く人だとすると、平地換算の見積もりは110分になる。もしその山行の実際の行動時間が170分で、獲得標高が500メートルだったなら、登りぶんはおよそ60分——60÷500は、一般論の600メートルではなく、500メートルごとにおよそ1時間という数字になる。この違いこそ、一般論の目安には知りようのない、その人自身とその地形に固有のものであり、記録された山行が何本かあれば、それをそのまま教えてくれる。
つまずきやすいところ
- 平地換算の基準に、行動時間ではなく経過時間を使ってしまうこと——経過時間にはすでに休憩が含まれているので、獲得標高ぶんの上乗せと合わせると、同じ休憩時間を二重に数えることになる。
- 歩くよりずっと速い、あるいは遅いほかの活動に同じ定数を当てはめること——この目安はあくまで徒歩のペースについてのもので、走ることや自転車にはまったく違う定数が必要になる。
- 岩場での手足を使う登下降や、道のない区間、足場の悪い区間まで、この目安がカバーしていると思い込むこと——この定数はふつうの登山道を歩く前提で作られており、荒れた地形や高度感のある区間は、獲得標高ぶんの上乗せだけでは説明できないくらい時間を食う。
- まったく違う地形にも、同じ自分専用の定数がそのまま通用すると考えること——歩きやすいつづら折りの道から出した定数は、ガレ場や急登の多い山行では時間を短く見積もりすぎるし、逆の場合も起こりうる。
TrailCam がここでしていること
TrailCam は山行ごとに距離・行動時間・ペース・獲得標高を記録するので、この見積もりに必要な二つの数字は、特別な設定をしなくても過去のルートにすでに残っている。似たような山行をいくつか振り返れば、平均的な歩き手を想定した一般論の目安では届かない、自分自身の登りでのペース感覚がつかめてくる。ダウンロードは無料。
よくある質問
- 獲得標高ぶんの追加時間を見積もる標準的な目安は?
- 獲得標高600メートル(約2,000フィート)ごとに、普通の歩くペースで距離だけから出した時間に、およそ1時間を上乗せする。100年以上前から山歩きで使われてきた目安で、ナイスミスの法則と呼ばれることもある。
- この目安は下りの時間も考えているの?
- 直接には考えていない——もともとの形は登りについての目安であって、下りについてのものではない。急で技術的な下りは、この計算には含まれていない、それ自体の時間がかかることがある。
- 同じ目安でも、人によって当たり外れがあるのはなぜ?
- この目安はいろいろな人を平均した歩くペースについての数字であって、荷物の重さ、足場の得意不得意、そのコースへの慣れといった個人差は、実際の数字を平均から大きくずらすからだ。自分の距離・行動時間・獲得標高が残った山行が何本かあれば、一般論の定数を、自分自身のペースから作った定数に置き換えられる。
自分のルートを記録する
TrailCam は iPhone 用の GPS ルート記録アプリです。動画・写真・音声メモを撮ったその地点に紐づけて保存し、GPX 1.1 または CSV で書き出せます。ダウンロードは無料です。