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「正味の標高差」と「獲得標高」の違い

どちらも「標高差」と呼ばれることがありますが、同じものを測っていません。正味の標高差は引き算1回――ルートの最高地点の標高から、出発地点の標高を引くだけです。獲得標高(累積標高、あるいは単に「爬」)は、ルート上で登った区間をすべて足し合わせた数字で、下った区間はこの合計には入りません。駐車場に戻ってくる周回ルートなら、正味の標高差はきっちりゼロになりますが、獲得標高はそれでも大きな値になることがあります。周回の途中で何度も登り下りを繰り返しているからです。

まず結論

正味の標高差:ルートの最高地点の標高から出発地点の標高を引く。それだけです。引き算1回だけの数字で、途中で何回登って何回下ったかは一切語りません。

獲得標高(多くのアプリが表示し、たいていの人が「標高差」と言うときに指しているのはこちら):ルート上の点を順番にたどり、標高が前の点より上がるたびに、その差を合計に足していきます。下った区間はこの合計には入らず、別の合計――下降量――として集計されます。

ひたすら登って、同じ道をそのまま下るだけのルートなら、この2つの数字はほぼ一致します。沢を渡って登り返す、細かいアップダウンが続くなど、実際に起伏のあるルートでは、起伏が多いほど獲得標高が正味の標高差からどんどん離れていきます。

正味の標高差がゼロの周回ルートが、きつい一日になることもある理由

周回ルートは定義上、出発地点に戻ってきます。だから正味の標高差はいつもほぼゼロです。ゼロという数字は、途中の登りについて何も語りません。尾根沿いをずっと歩くだけの周回なら、実際にほぼ平坦かもしれません。一方で、谷に一度下りてまた登り返し、別の谷でもう一度同じことを繰り返す周回なら、正味の標高差はゼロのままでも、獲得標高はかなり大きな値になり得ます。獲得標高が見ているのは各区間の向き――上がったか下がったか――だけで、ルートが最終的にどこへ着地するかはまったく気にしないからです。

ピストン(往復)で獲得標高と下降量がほぼ等しくなるのも、同じ理屈です。片道だけ歩く縦走やポイント・トゥ・ポイントのルートだと、この2つが大きく食い違うことがあります。正味の標高差と獲得標高がどれくらい離れるかを決めるのは、山行の長さではなく、ルートの形そのものです。

どちらの数字がどこに出てくるか

正味の標高差は出すのが簡単です。出発地点と最高地点、2か所の標高さえわかれば計算できるので、誰も実際にGPS端末を持って歩かなくても、地形図や古い測量データだけから出せます。古いガイドブックやトレイルヘッドの看板、ざっくりした案内文に載っている「標高差」は、それと断っていなくても、正味の標高差に近い数字であることがよくあります。書いた人の手元に、たまたまその数字しかなかったからです。

獲得標高を出すには、ルート全体を1点ずつ記録したデータが要ります。これはまさにGPSの軌跡そのものです。位置と高度を継続的に記録しているスマホは、トレイルの細かい上り下りをすべて見ています。だから記録したルートから集計される「獲得標高」は、ほぼ必ず、登った分がすべて足し合わされた数字――途中のどこかの下りと相殺されることのない数字――になります。

具体的な数字で見る

標高800メートルから出発する周回ルートを考えます。まず標高1100メートルの鞍部まで登り、標高950メートルの窪地まで下り、そこから標高1050メートルの小さなピークまでもう一度登り返し、そこから標高800メートルの登山口までずっと下って戻ります。正味の標高差は、最高地点から出発地点を引いて 1100 − 800 = 300メートル。看板が「標高差」を引き算1回だけで示しているなら、この300という数字が書かれているかもしれません。

獲得標高は、登った区間だけを別々に足し合わせます。鞍部までの登り300メートルと、窪地から小さなピークまでの登り返し100メートルを合わせて、獲得標高は400メートルです。起伏がもっと多いルートなら、300と400の差はさらに開いていきます。小さな登り返しが何か所もあるトレイルでは、正味の標高差はまったく動かないまま、獲得標高だけが目に見えて大きくなることがあります。正味の標高差が見ているのは、出発地点と最高地点だけだからです。

山行のきつさを見積もるなら、どちらを見るべきか

この問いに対しては獲得標高のほうが正直な数字です。ルート上の2点間の距離だけでなく、実際に足が登った分をすべて反映しているからです。正味の標高差だけを見ていると、起伏の多いトレイルを実際より楽そうに見せてしまうことがあります。「標高差300メートル」と聞けば控えめな登りに思えますが、実はその中に、引き算1回では絶対に数えられない100メートル級の登り返しが4本も隠れていた、ということが起こり得ます。所要時間やきつさを見積もるなら獲得標高を信用してください。正味の標高差が答えているのは、もっと狭い問い――ルートの頂点が出発点よりどれだけ高いか――だけです。

ここで誤解しやすいこと

  • 周回ルートの正味の標高差がゼロだから「ほとんど登っていない」と考えてしまう——周回は定義上ゼロに戻ってくるだけで、獲得標高はそれとは別にかなり大きくなり得る。
  • ガイドブックの正味の標高差と、アプリの獲得標高を同じ土俵で比べて「どちらかが間違っている」と考えてしまう——両方とも正しいまま、問いが違うので大きくずれることがある。
  • 獲得標高と下降量は、どんな山行でもだいたい同じ値になるはずだと思い込む——同じ道を戻るピストンではその通りだが、片道だけのルートでは大きく食い違ってよい。
  • 起伏の多いトレイルの正味の標高差から、実際に何回登り返しがあるかを読み取ろうとする——正味の標高差は出発地点と最高地点しか見ていないので、途中の登り返しの回数はそもそも情報として持っていない。

TrailCamでできること

TrailCamが表示する獲得標高は、正味の標高差ではなく、記録した軌跡が実際に登った分をすべて足し合わせた獲得標高のほうです。距離・行動時間・ペースと並べて、地図の下に高度プロフィールとして表示されます。ダウンロードは無料です。

よくある質問

獲得標高と累積標高は同じものですか?
はい。「獲得標高」「累積標高」「総上昇量」はすべて同じ数字を指しています。ルート上で登った区間をすべて足し合わせた数字で、下った区間はこの合計には含まれません。
出発地点に戻ってくる周回ルートなのに、獲得標高が大きく表示されるのはなぜですか?
周回ルートの正味の標高差は、出発地点に戻ってくる以上いつもほぼゼロです。獲得標高はそれとは別の数字で、途中の登りをすべて足し合わせます。何度か下って登り返す周回なら、正味の標高差がゼロのままでも、獲得標高はしっかり大きな値になります。
山行のきつさを見積もるとき、どちらの数字を信じればいいですか?
たいていは獲得標高です。ルート上で実際に登った分をすべて反映しているからです。正味の標高差は出発地点と最高地点の差しか見ておらず、途中に隠れた登り返しをまったく数えません。

自分のルートを記録する

TrailCam は iPhone 用の GPS ルート記録アプリです。動画・写真・音声メモを撮ったその地点に紐づけて保存し、GPX 1.1 または CSV で書き出せます。ダウンロードは無料です。

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