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往復の山行で獲得標高と下降量が一致しないのはなぜか

往復の山行は同じ地形を2回、方向を変えてなぞります。だから行きの獲得標高は帰りの下降量と、行きの下降量は帰りの獲得標高と、鏡合わせになるはずだと思いたくなります。同じ斜面なのだから当然だ、と。あとで数字を見ると、たしかに近くはあるものの、ぴったり一致することはまずありません。斜面が行きと帰りで変わったわけではありません。変わったのは、それぞれの脚がそのとき記録された標高のデータから独立に測定されているという点で、同じ斜面を測った2回の測定は一致するとは限らないのです。

まず結論

獲得標高も下降量も、あらかじめ決まったルートの高さの表から引いてくる数字ではなく、その脚で記録された標高の並びから、そのつど合計し直される数字です。同じ地形を2回歩いても、記録される標高の並びは行きと帰りで別物になります——地形そのものは1ミリも動いていなくても。だから行きで測った獲得標高と、帰りで測った下降量は、同じ登りを別々に見積もった2つの数字であって、1つの数字を2回読んだものではありません。数パーセントのずれが出るのはこのためで、道を外れたわけでも、アプリが数え間違えたわけでもありません。

理屈のうえでは一致するはず

純粋な往復——ある地点まで歩いて、同じ道を引き返す山行——であれば、行きで登った1メートルは、帰りにその同じ区間を下る1メートルであり、行きで下った1メートルは帰りに登る1メートルです。全部足し合わせれば、行きの獲得標高は帰りの下降量と、行きの下降量は帰りの獲得標高と等しくなるはずです。これは自分の足跡をなぞって歩くことの物理的な事実であり、だからこそ2つの数字はまったく無関係な値にはならず、近い範囲に収まります。

ただし「近い範囲」という言い方が、まさにその限界を示しています。行きと帰りは数時間、時には数十分しか空いていなくても、標高はそのつど新しく測定し直されるのであって、行きで読んだ値を帰りが覚えているわけではありません。

行きと帰りの数字が揃わない理由

標高はそのつど独立に測定される

記録アプリの側には、この地点はさっき通ったという記憶はありません。行きも帰りも、それぞれの測位は GPS や気圧センサーがその瞬間に示す標高の、そのつどの読み取りです。同じ1平方メートルを別の時刻に2回通っても、それはノイズの乗った測定値の2つの独立したサンプルであって、真の値のまわりにばらつくだけで、2回そろって同じ値になる保証はありません。

歩いているあいだの気圧の変化

iPhone 6 以降には気圧センサーが入っていて、相対的な高度の変化は滑らかに拾えます。ただしそれは、そのときの気圧を基準にした読み取りで、気圧は実際の標高とは関係なく天気とともに動きます。数時間の山行のあいだに気圧が動けば、行きで通った地点は、帰りに同じ場所を通ったときには数メートル高く、あるいは低く読み取られることがあり、しかもそのずれは行きと帰りにきれいに半分ずつ配分されるわけではありません。

閾値によるフィルタも脚ごとに別々にかかる

合計する前に、アプリはある閾値より小さな上下のブレを無視し、平坦な道がノイズだけで獲得標高を稼がないようにしています。このフィルタは行きの記録と帰りの記録それぞれに別個にかかるので、もともと違う数字の並びに同じ処理をかけたところで、同じ合計になるとは限りません。

帰りの線は行きの線とめったに重ならない

ぬかるみを避けた、九十九折りの曲がり方が少し違った、歩く速さが変わった——それだけで、どの点が記録され、どこで記録されるかが変わります。歩いている道そのものは行きも帰りも同じでも、記録された線はそのつど違うサンプルであり、獲得標高は道そのものではなく、その記録された線から計算されます。

このずれが意味しないこと

行きの獲得標高と帰りの下降量が一致しないことは、道を間違えたサインでも、記録がおかしくなったサインでも、どちらかの脚のほうが信用できないというサインでもありません。どちらの脚も、もともとノイズを含む量を独立に測った、ごく普通の測定です。数パーセントのずれは、むしろぴったり一致するほうが不自然だと言えるくらい、想定の範囲内です。ずれが小さくなく大きい場合——帰りの脚が行きよりはっきり多い、あるいは少ないと出ている場合——は、標高そのものより、寄り道が長かった、記録が途中で止まっていた、片方の脚だけ木々の下を長く歩いていた、といった理由のほうが可能性としては高くなります。

つまずきやすい点

  • 行きと帰りが鏡合わせになるはずだと思い込み、少しのずれをすぐ異常と受け止めてしまう——小さなずれは2つの独立した測定の当然の結果であって、不具合ではありません。
  • 行きの獲得標高と帰りの獲得標高を単純に足して「その日の総登坂量」とみなし、同じ斜面を2回登った分を重ねて数えていないか確認しないでいる——きつさが2倍になるわけではありませんが、同じ長さの片道ルートの獲得標高とも同じではありません。
  • ずれが大きいと、いつも寄り道が長かったからだと考えてしまう——数時間にわたる気圧の変化だけで、どこを歩いたかは変わらないまま数字だけが動くことがあります。
  • 別のアプリどうし、あるいは別の日の山行どうしで、行きと帰りの一致の度合いが同じくらいそろうと期待してしまう——閾値の設定もその日の天気もそれぞれ違うので、行きと帰りがどれだけぴったり合うかは、その道そのものに固定された性質ではありません。

TrailCam の場合

TrailCam は、記録されたハイキング・ウォーキング・ライドそれぞれについて、距離・行動時間・ペースと並べて獲得標高を表示します。数字は実際に記録されたルートから計算され、行きと帰りをきれいに揃えるために均されることはありません。保存したルートを再生すると、地図の下に同じ高度プロフィールが表示されるので、往復の2つの脚のあいだのずれも、鵜呑みにするのではなく自分の目で確かめられます。アプリのダウンロードは無料です。

よくある質問

往復の山行では獲得標高と下降量は同じ数字になるべきですか?
近い数字にはなるはずです。行きと帰りで同じ地形を1回ずつ登り下りするからです。ただし行きと帰りは別々に測定されるので、ぴったり同じ数字になることはまれです。数パーセントのずれは普通のことです。
行きと帰りの差が大きいと、GPS の記録が間違っているということですか?
必ずしもそうとは限りません。小さめのずれはごく普通の測定のばらつきです。大きなずれは、標高の読み取り自体の不具合というより、寄り道や記録の中断、片方の脚だけ木々の下が長かったといった理由で説明できることのほうが多いです。
行きの獲得標高と帰りの下降量を平均して1つの数字にしたほうがよいですか?
その必要はありません。多くのアプリはすでに、行きと帰りを手作業ですり合わせなくても、ルート全体の獲得標高と下降量をそれぞれ別の合計として示しており、どちらの数字も同じ山行を正しく読み取ったものです。

自分のルートを記録する

TrailCam は iPhone 用の GPS ルート記録アプリです。動画・写真・音声メモを撮ったその地点に紐づけて保存し、GPX 1.1 または CSV で書き出せます。ダウンロードは無料です。

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