自転車で下る急カーブで、GPSの軌跡が角を切ってしまうのはなぜか
走っているときはしっかり倒し込んだつもりのヘアピンが、あとで地図を見ると角が削れてほとんど曲がっていない線になっていることがあります。端末やアプリが何か失敗したわけではありません。軌跡は実際に記録された点を順番に直線で結んで描かれているだけで、スピードに乗って下ったカーブでは、その点と点の間隔がカーブそのものより広くなってしまい、二点を結ぶ直線のほうが道の曲がり方より短い近道になってしまうことがあるのです。
短く答えると
記録された軌跡は、道に沿って連続的になぞられた曲線ではなく、GPSの点と点のあいだを直線で結んだ折れ線です。たいていの区間では点同士が十分近く、直線のつなぎ目は目に見えず、線は滑らかな曲線に見えます。スピードを乗せたまま半径の小さいカーブに入ると、その間に記録された点同士がカーブの幅より離れてしまうことがあり、点を結ぶ直線がカーブの内側を突っ切るように見えます。これは点がたまたま落ちた場所によって生まれる描画上の見え方であって、記録が何かを取りこぼしたわけでも、自転車でのトラッキングが不正確になったわけでもありません。
点の間隔は道ではなくスピードで決まる
iPhone での記録は、動いているあいだおおよそ1〜2秒に1点というペースに落ち着きますが、これは決まったタイマーではなく、動いているかどうかによって決まっています。この間隔は、この先の道が曲がっているかどうかとは関係なく、時間と動きだけで決まるものです。一方で、その間隔のあいだにどれだけ地面を進むかは変わり、それは移動速度にそのまま比例します。
徒歩の速さはだいたい秒速1メートル強なので、1〜2秒ごとの記録間隔で進む距離はせいぜい1メートル強で、たいていのカーブに対しては誤差の範囲です。スピードに乗って下る自転車は、その5倍から10倍の速さで動くこともあり、同じ1〜2秒の間隔でも、そのあいだに道がどう曲がっていたかにかかわらず、数メートルからその何倍もの距離を一気に進んでしまいます。点そのものの精度がスピードで落ちるわけではなく、単に点の数が少なくなり、間隔が広がるだけです。
下りのヘアピンで一番目立つ理由
下りのスイッチバックでは、悪いタイミングでふたつの要素が重なります。ひとつはスピードで、ライダーは直線区間の勢いをそのままカーブに持ち込むことが多く、カーブの中でこそスピードが一番乗っている場面が多いこと。もうひとつはカーブの形そのもので、ヘアピンはそもそも短い距離で一気に高度を落とすために存在するカーブなので、ルート全体のなかでも半径が一番小さい部類に入ります。点の間隔が広がる場面と、半径の小さいカーブが、まったく同じ数秒のあいだに重なってしまう——これが、ふだんは目に見えない描画上のクセを、あとで地図を見て気づくレベルまで押し上げている理由です。
同じ効果は徒歩でも、急なつづら折れを小走りや駆け下りで通過したときに理論上は起こりえますが、たいていは気づくところまでいきません。歩く速さなら、鋭いカーブの中にも複数の点がちゃんと記録されるくらい、点同士が近いからです。
この現象が変えるもの、変えないもの
地図上で角が削れて見えるのは、そのカーブ一箇所に限られた局所的な現象で、ライド全体の記録が雑だったことを意味しません。ライド全体の走行距離への影響はごくわずかです。ヘアピンひとつの内側を数メートル切り取ったところで、ある程度の距離のライドに対しては誤差の範囲で、徒歩のつづら折れが少し角ばって見えるのと同じ性質のものです。獲得標高も同じ理由で影響を受けません——獲得標高は記録された各点の高度から積み上げられる数字であって、点と点を結ぶ線が道をどれだけ忠実になぞっているかとは関係がないからです。
変わるのは、そのカーブ一箇所の見た目だけです。ズームインすればその角は削れて見えますが、ライド全体で見れば、実際に走った道と同じ距離・同じ獲得標高を刻んだルートの中に埋もれて、ほとんど気にならなくなります。
勘違いしやすいところ
- カーブで角が切れているのを見て、そのカーブでGPSの電波が途切れたと思い込む——電波が本当に途切れたときは、線に隙間ができたり、位置が飛んだりします。角が削れるのは、正しく記録された点同士の間隔がスピードのせいで広がっているだけで、どの点も間違っているわけではありません。
- 自転車での記録はハイキングより不正確だと考えてしまう——記録の仕組みは両方とも同じで、自転車のほうが速く進む分、点と点のあいだに進む距離が大きくなるだけで、トラッキングの精度自体が変わっているわけではありません。
- もっと細かく記録すれば直せるはずだと期待する——点の記録間隔はアプリと端末の位置情報システムのあいだで決まる裏側の調整であって、自分で上げ下げできる設定ではありません。すでに、止まっているときより動いているときに多く記録するよう調整されています。
- 角が削れたヘアピンひとつを見て、ライド全体の距離が短く出ていると考えてしまう——影響はそのカーブ一箇所にとどまり、ライド全体で見れば気にする必要のないほど小さなものです。
TrailCam でできること
TrailCam は、選んだアクティビティの種類がハイキングでも自転車でも、同じ仕組みで位置情報を記録します——バックグラウンドで継続的に記録するだけで、自転車用と徒歩用で別々の設定があるわけではありません。ライドのあとは、平坦な川沿いの道でも下りのヘアピンが続くコースでも、同じ形式のファイルとして GPX 1.1 または CSV で書き出せます。これはオプションの TrailCam Pro に含まれる機能で、アプリ自体のダウンロードは無料です。
よくある質問
- カーブで角が切れているのは、そこでGPSの電波が届いていなかったということですか?
- いいえ。電波が途切れたり弱くなったりしたときは、たいてい軌跡に隙間ができるか、位置が急に飛びます。カーブでの角の削れは、正しく記録された点がスピードのせいで間隔が広がっただけで生じるもので、どの点かが間違っていたり抜けていたりするわけではありません。
- これはライド全体の走行距離に影響しますか?
- ごくわずかにしか影響しません。ひとつのカーブの内側を数メートル切り取る程度で、ある程度の距離のライドに対しては誤差の範囲です。全体の距離を意味のある形で変えることはありません。
- なぜ自転車の下りではよく起きて、ハイキングではあまり起きないのですか?
- 記録される点の間隔は道の形ではなく移動速度で決まるからです。自転車は徒歩より何倍も速く動くので、同じ1〜2秒の間隔でも進む距離がずっと大きくなります。徒歩なら鋭いカーブの中にも複数の点が記録される場面で、速い下りだと1〜2点しか記録されないことがあります。
自分のルートを記録する
TrailCam は iPhone 用の GPS ルート記録アプリです。動画・写真・音声メモを撮ったその地点に紐づけて保存し、GPX 1.1 または CSV で書き出せます。ダウンロードは無料です。