なぜ GPS の軌跡が、湖や建物の中を歩いたように表示されるのか
軌跡と地図は、そもそも別々に作られたふたつのものを重ねて表示しているだけだからです。軌跡はあなたが歩いたときに GPS 受信機が記録した座標の並びにすぎません。湖や建物の輪郭、林の緑は、まったく別のデータから描かれた地図の絵柄で、ページを表示するときにその上へ軌跡を重ねているだけです。GPS の位置には数メートル程度のずれが常について回りますが、それが地図の広い場所に落ちれば誰も気づきません。湖岸や建物の壁のようにくっきりした境界線の上にたまたま落ちたときだけ、目に見える形になります。
短く答えると
GPS の位置には、数メートルほどの誤差がどんな地形でも、どんな山行でも常について回ります。ふだんはこの誤差に気づきません。広い草地や幅のある登山道、駐車場には、点がずれてもまたぐような線が地図上にないからです。水域や建物はそこが違います。どちらも輪郭のはっきりした塗りつぶし図形として描かれているので、草地なら何も起きない同じ数メートルのずれが、湖岸や壁を越えた瞬間にはっきり目に見える形になります。
軌跡と地図は、まったく別の系統で描かれている
記録された軌跡は、座標と、それぞれに付いた高度・時刻のリストでしかありません。そこに湖の場所も建物の位置も情報として含まれていません。ただの点の並びです。いっぽう下に敷かれる地図は、衛星写真や測量データという、まったく別の出どころから作られていて、電話の GPS 受信機が測った内容とは何の関係もなく整備されています。ルートを表示するとき、アプリはあなたの軌跡を線として描き、その地図の上に重ねているだけです。ふたつは互いに何も参照していないので、軌跡が地図上の境界線をまたいでしまっても、そのこと自体に軌跡側が気づく仕組みは最初から存在しません。
なぜ建物の近くで特に目立つのか
開けた水面のそばでは、たいてい多少ぐらついていても素直な線が岸沿いに続くだけです。市街地はこれとは違う理由でノイズが乗りやすくなります。GPS の電波が壁や窓に反射してから受信機に届くことがあり、その電波は衛星から直進してきた電波よりわずかに遅れて到着します。受信機はこの反射波もまっすぐ届いたものとして計算するため、実際に立っていた場所から少しずれた位置が算出され、その反射を起こした建物の輪郭の中に入り込んでしまうことさえあります。この現象は、背の高い硬い面が道のすぐそばにある場所でこそ強く出ますが、それはまさに地図上に建物の輪郭が待ち構えている場所でもあります。
この見た目のずれが、数字に与える影響(と、与えない影響)
湖の端を線がかすめたり、屋根の下を横切ったりするのは、描画上の見た目の話であって、記録が失敗したしるしではありません。それを生んでいるのは、GPS 記録につねについて回る数メートル単位の誤差そのもので、たまたままたぐ線がある場所に落ちただけです。少しでも距離のある山行であれば、距離やペース、獲得標高が意味のある形で変わることはありません。理由はいつもの数メートルのずれと同じで、誤差の大きさはだいたい一定で、実際に歩いた距離の前では埋もれてしまうからです。目に留めるだけで十分で、それ以上気にする必要はありません。
よくあるつまずき
- 線が水面を短くかすめただけで、GPS を完全に見失ったと思い込む——信号を本当に見失ったときはもっと違う形になり、湖岸を少しまたぐ程度ではなく、長い一直線の飛びや、記録の途切れとして現れます。
- こうした見た目のずれを直そうとして、手作業でルートを引き直したりなぞり直したりする——位置データ自体には問題がなく、たまたま地図上のどの図形の上に乗ったかという表示の話にすぎません。
- 建物の近くはいつも GPS 精度が悪いと決めつける——反射の影響で確かに起きやすくはなりますが、「壁の中を歩いた」ように見える瞬間はたいてい一、二点だけの話で、その一帯すべての記録が信用できないという意味ではありません。
- 別のアプリや別の端末なら同じ山行を記録しても湖や建物に触れないはずだと思う——どの GPS 受信機にも同じ種類のふつうの位置誤差があるので、同じ道を二度記録すれば、また違う図形をかすめることもあれば、同じ図形を再びかすめることもあります。
TrailCam でどうなるか
TrailCam は、GPS 受信機が記録したとおりの座標をそのまま線として地図の上に描きます。ほかのどの軌跡表示とも同じで、撮った動画や写真、残した音声メモは、それを記録したルート上の地点に紐づけて表示されます。TrailCam はダウンロード無料です。
よくある質問
- 軌跡が湖や建物を横切っているのは、GPS の電波状態が悪かったということですか?
- そうとは限りません。多くの場合、実際に立っていた場所から数メートルずれた点が一、二個記録されただけで、これはふつうの GPS 誤差です。本当に信号を見失ったときはもっと違う形になり、長い一直線の飛びや記録の途切れとして現れます。
- なぜ開けた場所より建物の近くでこの現象が目立つのですか?
- 電波が壁や窓に反射してから受信機に届くことがあり、それが位置の計算を少しずらします。開けた場所には、その程度のずれが越える境界線が地図上にないので、同じだけの誤差があっても気づかれずに終わります。
- 湖や建物を横切っている軌跡は、修正したほうがよいですか?
- たいていはその必要はありません。一か所での数メートルのずれが、その山行全体の距離やペース、獲得標高に与える影響はごくわずかです。地図上で線がどう乗っているかという見た目の話であって、記録そのものの欠陥ではありません。
自分のルートを記録する
TrailCam は iPhone 用の GPS ルート記録アプリです。動画・写真・音声メモを撮ったその地点に紐づけて保存し、GPX 1.1 または CSV で書き出せます。ダウンロードは無料です。