写真のピンが、実際に立っていた場所とぴったり合わない理由
あとでルートを再生していると、写真のピンがトレイルから少し外れた場所や、実際に立ち止まった曲がり角より少し先に置かれていることがある。何かを見失ったのかと思いたくなるが、実際はその逆で、ピンは指示されたとおりの場所に置かれている。渡された座標そのものが、最初から完璧に正確だったわけではない——それはピンに限った話ではなく、GPS の軌跡上のすべての点に共通することだ。
結論から言うと
ルート上に紐づけられた写真・動画・音声メモは、撮影した瞬間にスマートフォンが持っていた GPS の測位に置かれる。この測位は測量ではなく推定であり、条件が良くても一、二メートル、空の見え方が悪ければもっとずれる。ピンは、その一回きりの測位に含まれていた小さな誤差をそのまま引き継ぐ。軌跡のほかの点も同じ誤差を抱えているが、ピンのほうが目につきやすいのは、それが「特定の記憶と照らし合わせて確認する一点」だからで、線のほうは全体の形でしか判断していない数千の点の集まりだからだ。
ピンの位置が実際には何なのか
メディアをルートに紐づけるのは、何か別の、より精密な位置情報のしくみを使っているわけではない。シャッターを切った瞬間に記録がすでに使っている GPS の測位を、そのまま読み取って座標として添えているだけだ。その一秒の測位がたまたま良いものであれば、ピンはほぼ正しい場所に落ち着く。たまたまぶれの多い測位だった場合——これは珍しいことではない——ピンはそのぶれを、そのまま永久に引き継ぐことになる。もともと、その一回の測位以上に正確になりようがないからだ。
これは、写真自体が持つ位置情報(EXIF)とは別のしくみだ。写真の EXIF はカメラアプリへの位置情報の利用が許可されていて、かつシャッターを切った瞬間に測位が取れていることが条件で、そもそも記録されていないこともある。ルートを記録しているアプリがつけるピンにはその種の失敗はない——ルートはすでに座標を継続的に記録しているので、使える座標が必ずある。ただし、その座標をその一秒の GPS チップが出せた精度より正確にすることはできない。
歩いているときより、立ち止まったときのほうが目立つ理由
完全に静止していても、GPS の測位は一、二メートルほどぶれる。毎回の測位が、直前の結果を覚えているのではなく、ゼロから計算し直されるからだ。歩いている間は、このぶれは点と点の間で実際に進んでいる距離のごく一部でしかなく、もともと動いている線の形の中に紛れて目立たない。ところが、写真の構図を決めるために立ち止まると、そのぶれのひとつひとつが、動いていない本物の一点のまわりで起きることになる。そのため、たまたまシャッターを切った瞬間の測位が、歩きながら撮ったときよりも、ずれた測位である確率が上がる。
これは、展望台で何もせず立っているだけなのに距離の合計がじわじわ増えていく現象と、根っこは同じぶれだ。GPS の受信機から見れば、写真のための一時停止も休憩のための一時停止も同じ状況にすぎない——スマートフォンがじっとしていて、「今どこにいるか」という同じ問いに、ひとつではなく少しずつ違う答えの集まりを返している状態だ。
軌跡全体をぼやけさせる条件は、ピンも同じようにぼやけさせる
立ち止まって撮りたくなるような展望ポイントは、たいてい GPS にとっても条件の厳しい場所と重なる。樹冠の切れ目、片側が岩で片側だけ空が開けたテラス、まわりを高い地形に囲まれた開けた場所——こうした場所では電波が本来より弱く届いたり、近くの岩肌などに一度反射してから受信機に届いたりして、四方が開けた平坦な場所より測位が荒れやすくなる。これは写真を撮ること自体に特有の現象ではなく、空の一部が塞がれている場所ならどこでも起きる、ごくふつうの精度の話にすぎない。たまたまシャッターを切った瞬間がその条件と重なっているだけだ。
実際に効くこと、効かないこと
- 写真や動画、音声メモを撮る動作そのものは精度に影響しない。ピンはそのときルートがすでに持っている測位をそのまま使うだけで、メディア用に別途調整できる設定はない。
- 撮る前の数秒、少しでも空が開けた場所に立つのは、軌跡全体の精度を上げるのと同じ理由で効果がある。
- ピンが実際の場所から数メートルずれていても、その付近の記録全体が間違っているわけではない。数多くの点のうちの一つが少しずれただけで、まわりのルートはいつもどおりの精度で記録されている。
- その場で画面やピンの位置を確認しても、着地点は変わらない。位置はシャッターを切った瞬間にすでに確定していて、確認する行為はそのあとに起きているからだ。
TrailCam の場合
TrailCam は、写真・最長 2 分の動画クリップ・ひとことの音声メモを、それぞれ撮影したルート上の地点に紐づけて保存する。使っているのは、軌跡そのものを記録しているのと同じ GPS の測位だ。あとから保存したルートを再生すると、地図の上に線が引き直され、クリップも写真もメモも記録されたその場所に現れ、下では高度プロフィールが動く。ひとつのピンに乗った数メートル程度のふつうの GPS のぶれが、ルート全体の見え方を変えてしまうことはない。ダウンロードは無料。
よくある質問
- 写真のピンは、軌跡そのものより精度が低いのですか?
- 軌跡上のほかのどの一点とも変わりません。ピンは一回の GPS 測位に置かれるだけで、それはルート上のほかのすべての点と同じ種類のデータです。ふつうの数メートル程度の精度をそのまま引き継いでいるにすぎず、ただ「特定の記憶と照らし合わせる一点」として見るぶん目につきやすいだけです。
- 写真を撮るために立ち止まると、位置の精度は落ちますか?
- ぶれの大きさ自体はほとんど変わりませんが、目につきやすくはなります。GPS のぶれは動いていても止まっていても似たような大きさですが、歩いている間はそのぶれが実際に変化していく位置の中に隠れます。立ち止まると、本来ひとつのはずの場所のまわりに複数のわずかに違う測位が現れ、ピンはたまたまシャッターを切った瞬間に使われていたものを採用します。
- 写真がルート上のまったく違う場所にピン留めされることはありますか?
- それは別の、はるかにまれな問題で、地図上に目立つスパイクを作る単発の悪い測位に近いものです。ピンが実際の場所から少しずれているのは想定の範囲内ですが、まわりのルートから明らかに離れた場所にピンがある場合は、軌跡上のほかの外れ値と同じように確認する価値があります。
自分のルートを記録する
TrailCam は iPhone 用の GPS ルート記録アプリです。動画・写真・音声メモを撮ったその地点に紐づけて保存し、GPX 1.1 または CSV で書き出せます。ダウンロードは無料です。