TrailCam

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高層ビル街を歩くと GPS の精度は落ちる?

公園や河川敷を歩いた軌跡は、道の上にきれいに乗る。同じスマートフォン、同じアプリでも、その少し前に高いビルに挟まれた通りを歩いていた区間だけは、軌跡が道の反対側と一度も入ったことのないビルの中を行ったり来たりすることがある。壊れたわけではない。高いビルが両側に並ぶ通りは、山奥の狭い谷が GPS 電波にすることとほぼ同じことをしていて、その仕組みを知っておけば、都心を通った区間のせいで軌跡全体を疑わずに済む。

結論

影響はある。高いビルが両側に並ぶ通りでは、二つの理由が同時に働いて測位が乱れる。ひとつは空の見える範囲そのものが物理的に狭くなること、もうひとつは届く電波の多くがガラスや金属の壁に一度反射してから受信機に届くことだ。どちらも仕組みがよく分かっている現象で、特定のスマホやアプリに限った話ではない。同じ通りを歩けば、どの記録アプリでも似たような歪みが出る。ビル街を抜ければ元に戻る。

性質の違う二つの問題が同時に起きている

見える空が狭くなる

受信機がしっかりした位置を出すには、空の広い範囲に散らばった複数の衛星をある程度はっきり見えている必要がある。高いビルに挟まれた通りを歩くと、その空のかなりの部分がビルの壁とガラスに塞がれてしまい、山奥の谷や崖が空を塞ぐのとまったく同じ理屈で見える衛星の数が減る。残るのは頭上の細い帯だけということも多く、衛星の数も広がりも足りない状態になる——電波が反射する前の時点で、すでに測位は緩くなっている。

ガラスや金属によるマルチパス

受信機に届く電波も、衛星からまっすぐ届いたものばかりとは限らない。幅の広いガラス張りのビルや金属外装の高層ビルは、鏡が光を反射するのとよく似た形で GPS 電波を反射する。反射した電波を受け取った受信機には、それが遠回りをしてきたことを見分ける手立てがなく、余分に進んだ距離をそのまま衛星までの距離として扱ってしまうため、算出される位置がずれる。これは樹林帯で幹に反射するマルチパスや、谷で岩壁に反射するマルチパスと同じ現象で、ガラスや金属という硬く平らな面のぶん、反射がより強くはっきり出るというだけの違いだ。

記録された軌跡に実際に現れること

この二つが重なるせいで、都心の区間だけ開けたトレイルよりずっと荒れて見えることがある。軌跡が通りの反対側に飛んだり、角が丸まって見えたり短く切れたり、一度も近づいていないビルの中に点が打たれたりする。トンネルの出口で標高がわずかに乱れるのと同じ理由で、見通しの悪い区間を抜けた直後の一点だけ標高が跳ねることもある——電波の状態が悪い区間のすぐあとの最初の測位は、その日いちばん粗いことが多く、数点あとには落ち着く。

いずれも、スマートフォンやアプリ、それ以外の記録部分に問題があるわけではない。実際に空が塞がれていた区間に限って現れるもので、その前後の点は他のどの点とも変わらず信頼できる。

開けたトレイルでこの問題が起きない理由

この現象は、都会か山かということ自体とは関係なく、受信機の周りに実際に何があるかだけで決まる。広い広場や公園、開けた水面にかかる橋の上なら、近くに高いビルがあっても尾根の上とほぼ同じくらい空が開けている。いちばん影響が大きいのは、高い建物が両側からせまる狭い通り——山の谷とまったく同じ形を、人が造ったというだけの地形だ。都心を通る山行やライドの多くは、出発直後か到着直前にこの地形を数分間通り抜けるだけで、そのあとはもっと開けた場所に出ることが多いので、軌跡全体というより一方の端に荒れた区間としてぽつんと現れることが多い。

実際に効くこと

  • ビル街に入る前に、広場や公園など開けた場所で測位を落ち着かせておくと、受信機はそこを起点にできる。樹林帯や谷に入る前と同じ考え方。
  • 荒れた点は、いちばん高いビルに挟まれたいちばん狭い区間に集中しやすい。この現象は地形そのものに直結しているので、都心区間全体に均等に広がることは少ない。
  • 軌跡が通りの反対側に飛んだからといって、記録が止まった・失敗したと考える必要はない。受信機は数秒ごとにきちんと位置を出し続けていて、数分前よりずっと悪い空の条件でそれをしているだけ。
  • 密集した街区を通った距離を地図上の直線距離とそのまま比べるのは、あまり公平な比較ではない。濃い樹林帯の場合と同じで、GPS で記録された軌跡には揺れによる余分な長さが乗っているうえに、実際の道のりの分も足されている。

これらはあとからソフトウェアで直せる性質のものではない。受信機はアンテナが実際に受け取れた電波をそのまま報告しているだけだからだ。TrailCam は開けた尾根でも狭いビル街の通りでも、バックグラウンドで記録を続け、その区間がどれだけ荒れていても記録自体は止まらない。仕上がったルートはあとから GPX 1.1 または CSV として書き出せる。ダウンロードは無料。

よくある質問

アーバンキャニオン現象というのは、都会では GPS が使えなくなるということですか?
いいえ。都心を歩いている間も GPS 自体は動き続けます。アーバンキャニオン現象は、高いビルに挟まれて空が塞がれ、電波が反射することで精度が落ちる現象を指すもので、トンネルや地下駐車場のように電波そのものが完全に届かなくなる話とは別です。
一度も入ったことのないビルの中を歩いたことになっているのはなぜですか?
ほとんどの場合、ガラスや金属に反射した電波を、まっすぐ届いた電波と同じように扱ってしまったことが原因です。反射のぶん位置の計算がずれ、狭い通りでは数メートルからそれ以上、横にずれて表示されることがあります。
この影響は地図上の線だけでなく、標高にも出ますか?
主に横方向の線に出ますが、電波の状態が悪い区間を抜けて空が開けた直後に、標高が一瞬だけ跳ねることもあります。これは電波が弱くなったり塞がれたりしたあとに共通して起きることです。

自分のルートを記録する

TrailCam は iPhone 用の GPS ルート記録アプリです。動画・写真・音声メモを撮ったその地点に紐づけて保存し、GPX 1.1 または CSV で書き出せます。ダウンロードは無料です。

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