スマホを失くしたら、記録した山行はどうなる?
スマホを失くすというのは、実は一つの出来事ではありません。それより何日も、何ヶ月も前に静かに決まっていたことに、そこでようやく気づかされる瞬間です。記録していた山行があるスマホが、盗まれる、壊れる、行方不明になる——そうなった時点でもう打てる手はなく、その記録が残るかどうかは、スマホ以外のどこかにすでにコピーがあったかどうかで、とっくに決着がついています。失くした瞬間にできるのは、その答えを確かめることだけです。
結論から言うと
記録がそのスマホの中にしか無かった場合に限り、その山行は本当に失われます。アカウントに同期していた、端末まるごとのバックアップに含まれていた、あるいは GPX や CSV として別の場所にエクスポート済みだった——このどれかに当てはまれば、スマホを失くしても山行は消えません。買い替えたスマホで同じアカウントにサインインすれば、たいていはそこから戻ってきます。どれにも当てはまらなければ、そのスマホがただ一つのコピーだったということで、写真やメモをどこにも移していない状態で端末を失くすのと同じ結果になります。
失くした瞬間は、もう手遅れの瞬間でもある
盗まれたスマホに「先にエクスポートして」とは頼めません。川底に沈んだスマホに「アップロードを終わらせて」とも言えません。アカウント同期にせよ、端末バックアップにせよ、手動でのエクスポートにせよ、こうした備えはすべて、スマホが行方不明になる前から動いていて初めて意味を持ちます。無くなった後や壊れた後のスマホから、何かを取り出す手立てはどこにもないからです。これが、スマホを失くすという出来事を、他の記録トラブルと決定的に違うものにしています。起きてしまってから試せる対処法は無く、あるのは「事前に何が用意されていたか」という確認だけです。
山行を実際に救う三つの仕組みと、それぞれが守る範囲
端末まるごとのバックアップ——iPhone をアプリごと丸ごと複製して、買い替えたスマホをそのコピーとしてセットアップできる仕組み——は、登山アプリの記録を写真や動画クリップも含めて、ほぼそのままの形で復元してくれます。ただしそれが効くのは、そのバックアップがスマホを失くす前に完了していた場合に限られ、しかも復元はアプリ単体ではなく端末全体のセットアップとセットになります。
アプリ自身のアカウント同期は、対象は狭いものの、端末バックアップとは独立して働く備えです。元のスマホを復元するのではなく、まったく別の新しいスマホに登山アプリを入れてサインインするだけで、クラウドへの同期がすでに有効になっているアカウントなら記録は自然に戻ってきます。記録が最初から一台の端末に縛られていなかったからです。これは、スマホが単に無くなった場合だけでなく、修理不能なほど壊れてしまった場合にも効く仕組みです。
手動でのエクスポート——GPX や CSV としてメールやクラウドドライブ、パソコンに保存しておいたファイル——は、もっとも単純な形のコピーで、アカウントやバックアップの仕組みが正しく動いているかどうかにいちばん左右されません。ただしこれが守るのは、失くす前に実際にエクスポートしておいた山行だけで、それも一つずつです。履歴全体を自動で守る備えというより、特に残しておきたい一本のために自分から手を動かす習慣に近いものです。
落とし穴——エクスポートが守るのは道のりであって、山行そのものではない
GPX や CSV のファイルは、基本的に座標の並びでしかありません。途中で撮った写真や動画クリップ、録った声のメモを一緒に運ぶようには作られていないので、事前にエクスポートしておいても守れるのは地図上の線だけで、その山行を記録しておきたいと思わせた中身までは守ってくれません。写真や動画クリップまでまとめて持ち出せるのは、一本ずつのエクスポートではなく、アプリの履歴全体を対象にしたアカウントのクラウド同期の方です。両者の違いは、特に大事な一本のために自分で覚えておいて手動で残すコピーか、何もしなくても常に働き続けているコピーか、という違いです。
実際に買い替えたとき、何が起きるか
新しいスマホを用意して、登山アプリで同じアカウントにサインインすると、クラウド同期が有効になっていた記録は、普通にアプリを入れ直したときとほとんど変わらない形で戻ってきます。そのアカウントから見れば、何も失われてはおらず、ただ最後に見ていた端末が一台変わっただけだからです。一方、無くなったスマホの中だけに存在していた記録は、サインインする先そのものが無いので戻りようがなく、新しいスマホの設定をどれだけ確認しても、一度も繋がっていなかったアカウントが繋がるわけではありません。この違いは新しいスマホで後からどうにかできるものではなく、失くす前に何を有効にしていたかで、すでに決まっていたことです。
TrailCam の場合
TrailCam は Apple またはメールアドレスでサインインでき、任意の TrailCam Pro にすると、このアカウントにクラウドバックアップが加わります。これにより、山行の記録は写真・動画クリップ・音声メモごと、スマホを失くしたり買い替えたりしても残ります。ルートはアプリ本体とは別に、いつでも GPX 1.1 または CSV として書き出すこともできるので、特に残しておきたい一本があれば、そのコピーを別に取っておくこともできます。TrailCam はダウンロード無料です。
よくある質問
- スマホが盗まれてしまったら、記録をあとから取り戻す方法はありますか?
- アカウント同期によるクラウドバックアップ、端末まるごとのバックアップ、エクスポート済みのファイルなど、スマホ以外のどこかにすでにコピーが存在していた場合に限られます。手元に無くなったスマホから、後からデータを取り出す方法はありません。
- 端末まるごとのバックアップには、登山アプリの写真や動画クリップも含まれますか?
- 基本的には含まれます。端末全体のバックアップは、その時点でスマホに入っていたアプリのデータを、写真や動画クリップも含めてそのまま保存します。ただし、そのバックアップがスマホを失くす前に完了している必要があります。
- GPXファイルをエクスポートしておけば、スマホを失くしても山行は安全ですか?
- 道のりそのものは守られますが、GPXファイルには途中で撮った写真や動画クリップ、録った声のメモは含まれません。それらを守れるのは、手動でのエクスポートではなく、アプリの履歴に対するクラウドバックアップです。
自分のルートを記録する
TrailCam は iPhone 用の GPS ルート記録アプリです。動画・写真・音声メモを撮ったその地点に紐づけて保存し、GPX 1.1 または CSV で書き出せます。ダウンロードは無料です。