GPX ファイルに移動時間は含まれる?
GPX ファイルの中を「移動時間」で検索しても、何も見つかりません。それは「ペース」で検索しても見つからないのと同じです。軌跡点は、ルートを歩くあいだ繰り返し書き込まれる、位置と標高とタイムスタンプの組み合わせにすぎず、その構造のどこにも、動いていた時間と立ち止まっていた時間を分ける仕組みはありません。ハイキングのあとに表示される移動時間は、その裸のタイムスタンプだけをもとに、開いたアプリ側があとから計算したものです。
先に結論
ありません。GPX の軌跡点が持てるのは緯度・経度・標高・時刻だけで、それがすべてです。歩いていた時間と、一時停止していたり立ち止まっていたりした時間を区別する項目は、フォーマットのどこにもありません。ハイキングに表示される移動時間は、点と点のあいだの時間を比べてあとから計算された数字であり、ファイルからそのまま読み出した値ではありません。
軌跡点が実際に持っているもの
GPX ファイルは入れ子の構造になっていて、軌跡の中に 1 つ以上のセグメントがあり、セグメントの中に時系列順の点が並び、それぞれの点は緯度・経度・標高・時刻という同じ小さな項目の組み合わせです。それ以外のものは一切ついてきません。ある点が「動いていた」か「止まっていた」かを示すフラグもなければ、どちらかに費やした時間を積み上げる欄もありません。GPX ファイルはいつどこにいたかを記録するためのもので、ペースや移動時間、標高獲得量といった数字はすべて、読み込む側が計算するものとして残されています。
セグメントの区切りは手がかりにすぎない
GPX の軌跡は複数のセグメントに分かれることがあり、アプリによっては一時停止したときに現在のセグメントを閉じ、再開したときに新しいセグメントを開くので、意図的な休憩がファイルに痕跡として残ることもあります。ただしこの痕跡は 2 つの意味で不完全です。まず、一時停止のたびに新しいセグメントを作るとは限らず、1 本の途切れないセグメントのままにして、時間の空白をタイムスタンプ任せにする記録アプリも少なくありません。さらに、一時停止をタップせずに立ち止まる、写真を撮るためにしゃがむ、息を整えるために景色を眺める、誰かを待つ、といったもっとよくある場面については、セグメントの区切りは何も語りません。そうした瞬間もふつうの点として記録され続け、位置は近いままタイムスタンプだけが進んでいくので、生データの上ではとてもゆっくり歩いている人と区別がつきません。
同じファイルでもアプリによって答えが変わる理由
移動時間はファイルに書かれた事実ではなく判断の産物なので、GPX ファイルを開くアプリはそれぞれ自分なりの基準で「動いていた」と「動いていなかった」の境界を引きます。よくあるのは、ある速さを下回った区間をカウントしないという速度のしきい値ですが、そのしきい値の値や適用の厳しさはアプリごとにまったく別です。点・標高・タイムスタンプがすべて同一の 1 つのファイルを 2 つの異なるアプリに読み込ませても、まったく違う移動時間が返ってくることは十分にあり得ます。どちらかが間違っているわけではありません。ファイル自体が決めきっていない問いに対する、それぞれのアプリなりの答えというだけです。
TrailCam でできること
TrailCam は、あとからファイルをもとに移動時間を組み立て直すのではなく、ハイキングが進行しているそのときに移動時間を計算します。一時停止をタップしたことでその区間が止まっていたと分かっているので、完了時に表示する移動時間からその区間を除きます。この数字はあとから生の点を見て推測したものではなく、その場で決まったものなので、履歴全体を書き出す CSV では 1 つの列としてそのまま持たせることができます。同じルートを GPX で書き出すと記録したすべての点が入り、地図や標高プロフィールを見るには十分ですが、ほかの GPX ファイルと同じく移動時間の合計を入れる項目はもとから用意されていません。GPX 1.1 と CSV の書き出しは任意の TrailCam Pro の機能で、アプリ自体はダウンロード無料です。
よくある質問
- ハイキングを GPX に書き出すと、アプリで見た移動時間は失われますか?
- 正確には「失われる」わけではありません。もともとフォーマットが保存できる数字ではなかったからです。GPX ファイルには記録したすべての点が残るので、地図や標高プロフィールを表示するには十分ですが、移動時間は書き出し後に開いたアプリ側が改めて計算し直す、別の数字です。
- 一時停止で新しいセグメントができるなら、それを見れば移動時間が正確に分かりますか?
- 部分的にしか分かりません。セグメントの区切りは意図的な一時停止の目印にはなりますが、一時停止せずに作った区切りを書かない記録アプリも多く、写真のために立ち止まるといった一時停止なしの静止についてはセグメントの区切りは何も教えてくれません。ハイキング中の静止時間の多くは、そもそもファイルに印として残りません。
- CSV での書き出しは、GPX と違う扱いになりますか?
- はい。CSV のサマリーは 1 ハイキング 1 行のフラットな表なので、書き出したアプリが計算済みの移動時間を、そのまま 1 つの列として持たせることができます。GPX ファイルには生の点しか入っておらず、完成した合計値を入れる項目に相当するものはありません。
自分のルートを記録する
TrailCam は iPhone 用の GPS ルート記録アプリです。動画・写真・音声メモを撮ったその地点に紐づけて保存し、GPX 1.1 または CSV で書き出せます。ダウンロードは無料です。