CSV で書き出すと、撮った写真や動画も一緒についてくる?
ついてきません。しかも CSV は GPX よりもさらに大きく的を外しています。GPX にはまだウェイポイントという、短いテキストを添えられる項目が一応あるので、「そこにファイル名くらい書けたのでは」という疑問が浮かぶ余地があります。CSV の一行にはそれすらありません。ページの上から下まで同じ形の欄が並んでいるだけの、数値と短いラベルのための構造で、何かのファイルを持たせる場所そのものが存在しないのです。写真も動画クリップも音声メモも、そもそも表計算の一つのセルに収まる候補として考えられたことすらありません。
まず結論
いいえ、ついてきません。CSV の書き出しは表であり、その書き出しが何をまとめたものかによって、一行が一回のハイキングを表すこともあれば、一行が記録された一点を表すこともあります。どちらにしても日付、距離、時間、ペース、獲得標高といった決まった欄が並んでいるだけです。写真や動画クリップ、音声の録音を添付する欄はどこにもなく、そもそもカンマ区切りのこの形式では、一つのセルにテキストか数値以外のものを持たせる仕組み自体がありません。メディアは撮った場所にそのまま残り、書き出されるのはその山行を表す数値だけです。
CSV の一行が実際に何のために作られているか
CSV は comma-separated values の略で、名前のとおりの中身です。一行はプレーンテキストの一続きで、ほかのすべての行とまったく同じ欄に区切られ、どこまでが一つの値かをカンマで示しているだけです。表計算ソフトがこの構造を読み込んで格子状に並べて見せてくれますが、ファイルそのものはテキストとカンマの羅列にすぎません。この構造には、セルの中にファイルそのものを持たせる仕組みが存在しません。写真は何千ピクセルもの画像データですが、CSV のセルは短い文字の並びか、日付か、数値を持たせるために作られたものです。これは大きさの問題ではなく、そもそも別の種類のものを扱う仕組みだという話です。
一点ごとの CSV でも事情は変わらない
CSV の書き出しの中には、一回のハイキングを一行にまとめるのではなく、記録した GPS の点ひとつひとつを一行にして、緯度・経度・標高・時刻を並べる形式もあります。これはより細かい表ではありますが、それでもやはり数値の表であることに変わりはなく、行が増えたからといって新しい種類の欄が増えるわけではありません。座標と時刻をすでに持っている行に、写真を参照する欄をどこかに追加する余地はありません。もともと「メディア」という欄自体が定義されていないからです。これに対して GPX ファイルには、ウェイポイントの名前や説明文という項目が一応構造の中に用意されています。メディアの役には結局立たないものの、少なくともそこに存在はしています。CSV の一行には、その使われていない項目すらありません。
写真や動画が実際にあるのはどこか
ハイキング中に撮った写真や動画クリップ、音声メモは、それ自体が独立したファイルとして、スマートフォン上のほかの写真や動画とまったく同じ形で保存されており、書き出したどの表とも完全に別物です。ルート上の一点にメディアを紐づけるアプリは、その対応関係を自分自身の側——自分の履歴やデータベースの中——に保持していて、トラック上の地点と、どこかにあるファイルとを結び付けています。ハイキングを CSV として書き出す操作は、まとめの数値だけを持った新しい別のファイルを作るだけで、メディアを移動させることも、コピーすることも、参照することもありません。書き出しが起きたからといって、メディア側には何も起きないのです。
なぜこの仕組みになっているのか
CSV が存在するのは、できるだけ多くのツールに、できるだけ手間なく開いてもらうためです。表計算ソフトでもスクリプトでもデータベースの取り込みでも、ハイキングアプリ固有の知識を何も持たなくても、まったく同じ「行とカンマ」の構造をそのまま読み込めます。CSV のまとめが担っているのはまさにこの役割で、シーズンを通した距離や獲得標高の比較を、比較そのものに向いたツールの上でおこなうためのものです。メディアはこの役割とは関係がありません。写真は動画クリップと同じく表計算の一つの欄に要約できるようなものではなく、無理に押し込もうとすれば、数値を見渡すためのツールが、まったく別問題であるメディアの保管庫のようなものに変わってしまいます。
つまずきやすいところ
- CSV の書き出しを表計算ソフトで開けば、写真のサムネイルやリンクが出てくるはずだと思い込む——表示できるものは何もありません。そもそもメディアへの参照自体がファイルの中に書き込まれていないからです。
- CSV は「単純だから」GPX より劣っている、あるいは優れていると考えてしまう——どちらもメディアを運べない点は同じで、理由も同じです。プレーンな行の並びも、プレーンな XML も、ファイルを持たせるための項目をそもそも持っていません。
- ハイキングを CSV として書き出すと、写真やクリップ、音声メモが消えたり切り離されたりすると心配する——書き出しは別の場所に新しいファイルを作るだけの操作で、アプリの中にすでに保存されているものには一切触れません。
- CSV の一行と特定の写真を目で見て対応づけようとする——行のタイムスタンプと写真自体のタイムスタンプを手作業で照らし合わせることはできますが、CSV ファイル自体には両者を結ぶ情報は入っていません。
TrailCam の場合
TrailCam は動画クリップ、写真、音声メモを、それを撮ったルート上の地点にちょうど紐づけて記録し、保存したルートを再生すると、それらが記録された地点で現れ、下には高度プロフィールが流れます。同じルートを CSV または GPX 1.1 として——一本の記録単位でも、履歴全体でも——書き出すときに運ばれるのは座標とまとめの数値だけで、メディアは TrailCam の中に残り続けます。もう一度すべてをひとつにまとめてくれるのは、ルートを再生することです。書き出しは任意の TrailCam Pro に含まれる機能で、アプリ自体のダウンロードは無料です。
よくある質問
- CSV のセルに写真や動画を添付として持たせることはできますか?
- できません。CSV のセルはプレーンテキストか数値を持たせるためのもので、それ以外のものを添付する仕組みはカンマ区切りの形式には存在しません。
- メディアを残すという点で、CSV は GPX より不利ですか?
- 大きな差はありません。どちらもルートのデータ、つまり座標や数値だけを持つように作られていて、写真や動画クリップ、音声メモのための項目がそもそも定義されていない点は同じだからです。
- CSV ファイルの中にメディアが見当たらないのは、失われてしまったということですか?
- いいえ。書き出しはまとめの数値を含む新しい別のファイルを作るだけの操作です。写真や動画クリップ、音声メモを記録した側は、そのままの場所に自分のコピーを持ち続けます。
自分のルートを記録する
TrailCam は iPhone 用の GPS ルート記録アプリです。動画・写真・音声メモを撮ったその地点に紐づけて保存し、GPX 1.1 または CSV で書き出せます。ダウンロードは無料です。